帰国枠入試相談室

「9年の課程」の問題を解決しましょう。

2011年12月9日

先日、早稲田高等学院に帰国生としての受験資格を得るため就学歴を送ったところ、受験を認められなかった生徒がいました。現地校に通う、現在Year10に在籍中の生徒ですが、早稲田高等学院の規定では、英国系の学校の場合は、Year10修了を以って「9年の過程」修了と見なすとのことで、願書提出時にYear10の途中であるその生徒は規定外とみなされたようです。

JOBAから過去にはたくさんの現地校生が早稲田高等学院を受験してきましたが、早稲田高等学院の規則に気付いていませんでした。これまでに問題になった生徒がいなかったこともありますが、願書など公開されている文書には、受験資格がある者について「2012年3月末までに国の内外を問わず通常の課程による9年の学校教育を修了、または修了見込みの者」としか書かれてなく、現在Year10の生徒は、十分に受験資格を満たしているとしか思えなかったためです。

ところで、高校受験の資格は、学校教育法に明記されており、「高等学校に入学することのできる者は、中学もしくはこれに準ずる学校を卒業した者、または監督庁の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められたものとする。」とあります。また、学校教育法施行規則の第九十五条に、中学校を卒業した者と同等の学力のある者についての説明があり、そこに、「外国の学校において、学校教育における9年の課程を終了した者」、という項目が出てきます。この「9年の課程」という文面が、これまで現地校に通う多くの生徒を悩ませてきました。特にアメリカ系の学校に通った場合には、9月から3月までに生まれた生徒は、日本の高校受験時にはGrade9の途中であるため、9年の課程を修了した者とはみなされず、15歳になっても日本の高校受験の資格は与えられなかったからです。このため、これらの生徒が日本の高校受験を望む場合には、途中で日本人学校に編入したり、早めに日本に帰国し公立中学校に編入せざるを得ませんでした。

しかし、Grade9はともかくYear10を問題にする学校は、現時点において私の知る限り、早稲田高等学院以外はないと思われます。アメリカ系の学校に通うGrade9途中の生徒であっても、現在では、ICUをはじめとして青山学院、早稲田本庄、早稲田実業、学芸大附属ほか、条件付きではありますが慶應藤沢も受験を認めています。ましてやYear10を問題にするなど、英国の教育制度を知っており、学校教育法施行規則を照らし合わせれば、あり得ないことです。11月という受験間際になって資格認定を行い、受験を認めないと伝えてきたことも、これまで同校を第一志望に見据え勉強に励んできた生徒のことを思うと残念でなりません。

早稲田高等学院の学院長には直接連絡をし、善処をお願いしましたが、今年度は同校の規則を変更するつもりはないとのことでした。

「9年の課程」の問題は、これまでたくさんの受験生と保護者の方々を悩まし金銭的な負担を強いてきました。この問題を、これ以上このままにしておいてよいはずがありません。根本的な解決を計るには、法の修正を国に請願するなど、誰かが立ち上がるしかないでしょう。何十年にもわたり誰も手を付けなかったことですが、何とかしたいものです。なお、この問題の解決には皆様方からの声が欠かせません。できれば、世界各国の海外滞在経験者のご協力も得て、この問題が解決するよう努力したいと考えています。

2012年01.02月号

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