校長だより

備えあれば憂いなし

2012年2月28日

偶然手元にあった2007年10月の月刊誌「ニュートン」を見てみたところ、その大見出しには「空前の破壊力、『M9』大地震 」と書かれ、巨大地震発生の可能性を指摘していました。また、この月の別の記事には、その年の7月に発生した新潟県中越沖地震のため柏崎刈羽原子力発電所(東京電力所有)に被害が生じたことを受けた、原発施設の補強対策についての中部電力と東京電力関係者の返答が載っていました。記載された返答の多くは中部電力によるものでしたが、大地震を想定し普段から様々な補強策を行っていたことわかりました。一方で、事故の当事者である東京電力の返答は、被害後約1ヶ月の問い合わせにも関わらず「調査が行われていない現時点で、どんな補強が必要か何ともいえない状況」というものでした。東日本大震災は、想定範囲を大幅に超える地震だったのかもしれませんが、東京電力は、柏崎刈羽での教訓を福島原子力発電所に活かせなかったのかもしれないと、この記事を読み思わされました。

東日本大震災が発生してから1年がたった今、私たちは、この教訓を受け止めることを忘れてはならないはずです。そこで、私自身はこの大地震から何を学んだのか、何か生徒に伝えられるないかと考えてみました。大震災が起こった現場から遠く離れた地に暮らす私に、大きなことなど言えるはずもありません。しかし、1つだけ声を大きくして生徒に伝えたいことを見つけました。それは、私たち人間は、残念ながら危険と隣り合わせに生きているということ、そして、その現実を受け止め、常に危機意識をもって生活することが大切であること、さらに、この意識がなくては、幸せを持続することはできないということです。

この地ロンドンでは地震の可能性は低くとも、空き巣や盗難の被害にあった方は少なくないはずです。テロの被害に遭う可能性も否めません。身近なところでは、大雪に見舞われ身動きできないというようなことも起こりうるでしょう。

起こりうる危険がある程度予想でき、対処策が考えられていれば、被害は最小限に食い止めることができるはずです。私たち大人は、経験から危険や問題発生の可能性を察知し事前に準備をすることができますが、子供たちはそうではありません。つまり、常日頃から危険や問題発生の可能性を考え、下調べと準備をしておくことが必要なのです。備えることの大切さを教えること、これこそが、子供たちに伝えていくべき教訓なのではないかと考えました。

3月の特別授業では、防災をテーマに、災難を最小限に食い止める心構え、準備、対処法を、生徒が巻き込まれる可能性のある危険や困難の具体例をもとに話し合う予定です。

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