校長だより

和解への道のり

2013年7月22日

日本では8月に終戦記念日を迎えることから、7月の特別授業では、毎年戦争にまつわるテーマを取り上げるようにしています。この7月は、太平洋戦争における日本軍と英国軍の戦いに焦点を当て、映像を通しシンガポールやビルマなど東南アジアで戦火を交えたこと、日本軍によるシンガポール陥落後には、10万人に及ぶ英国兵を捕虜にしたことなどを伝えました。以下はこの特別授業に参加した生徒の感想の一部です。

 ・ぼくは戦争がどのくらいこわいのかわかりました。
 ・ぼくは戦争がきらいです。でも今日もっときらいになりました。
 ・戦争の残酷さを語り継いでいけば、戦争をする国も減ると思う。
 ・日本の歴史を学ぶ機会がなかったので、今回日本のことを学べてよかった。
 ・新たな戦争を起こさないためには、今までの戦争から学んでいくしかないと思う。
 ・戦争による心の傷跡は何十年経っても癒されるものではないことを知った。

戦争経験者が皆無となるこれからの日本社会を思うと、戦争はしてはいけないことであることをいつまで語り継げるものか不安になります。ただ、上記のような感想を鑑みると、今の子供たちにも後世にしっかりと語り継ぐことができるはずだと思わされました。

ところで、今回の特別授業を通し、日本の戦争の歴史を初めて学んだという中学生が少なくないことに気付かされました。ご家庭では、教科書をお子様と一緒に読むなど、この夏休みを利用してお子様に日本の近代史を伝えてほしいと思います。なお、一部の教室のみになりますが、夏期講習会のオプション科目として歴史講座を設けておりますので、この機会をぜひご利用ください。

さて、今回の特別授業で最も伝えたかったのは、戦争をした国々が和解するには、長い年月と努力が必要だということです。今でこそ日英は良好な関係を築いているように思えますが、ほんの十数年前までは、現地校に通う生徒から第二次世界大戦を取り上げた歴史の授業で、先生や生徒から必要以上の攻撃を受け不快な思いをしたという話をよく聞かされていました。1998年に天皇・皇后両陛下が訪英された際には、バッキンガム宮殿に向かう途中、両陛下に背を向けた元捕虜やその遺族の人々がいて、終戦後50年以上経ていた当時でさえも戦争の傷跡は癒えていないことに驚かされたのを覚えています。今の日英関係があるのは、捕虜問題に尽力した方々など多くの人の努力のおかげであることを忘れてはならないと思います。

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