校長だより

若者がリードする時代

2015年3月30日

ニューヨークに本部を置く慈善事業団体ペンシルズ・オブ・プロミスの活動内容を知り驚かされました。設立は2008年10月で、2009年から世界の貧困地域に建設しはじめた学校数が、わずか5年で295校に達したのです。現在も90時間に1校の割合で学校建設を進め、2012年からは教師の養成も始めました。

今回のコラムでは、このペンシルズ・オブ・プロミス(POP)を設立したアダム・ブラウンの紹介と彼の言動を通して考えさせられたことをお伝えします。

POPを設立したのはアダム・ブラウンが24歳のときです。ブラウン大学卒業後に名門コンサルタント会社に就職したものの、もっと情熱を燃やせる仕事をしたいと考えたアダムは、「セメスター・アット・シー」や個人旅行の途中に出会った慈善事業家の影響を受け、会社勤務の傍らでこのPOPを立ち上げました。「セメスター・アット・シー」は、1学期間に亘り客船で世界各地を航海する大学生のための教育プログラムで、POPという名称はその寄港地の1つであるインドで出会った一人の少年の言葉をもとにしています。タージ・マハルで出会ったその少年は、好きなものが手に入るとしたら何が欲しいかと聞いたところ、少し考えた後に胸を張って「えんぴつ」と答えたそうです。遠慮しているではと思い何度も聞き返しましたが、答えは同じでした。この少年には家族はなく、学校に行ったことがなかったのです。鉛筆を受け取ったその少年の顔はパッと輝き、まるでダイヤモンドを見つめているようだったそうです。この時にアダムは、世界には学校に行ったことがない子供が多いことを実感し、鉛筆のような小さなものが子供の可能性を開くきっかけになるかもしれないと思い知らされました。

若干24歳の青年が、非営利団体を立ち上げるまではできても、その団体をわずか5年で300校近くの学校を建てるほどの組織に育てたことは、一昔前であれば信じられないようなことでしょう。アダムには、なぜこのようなことができたのか。アダムが初めに利用したのは、ソーシャルメディアでした。このソーシャルメディアを巧みに使いこなし、徐々に有名ブランドや大手企業をスポンサーに引き込んでいったのです。ちなみに19歳のときにフェイス・ブックを立ち上げたマーク・ザッカーバーグとアダムは大学は違いますが同学年です。

スティーブ・ジョブズがアップルを創ったのは21歳、ビル・ゲイツがマイクロソフトを創ったのは20歳のときです。この2人の影響を大きく受けたIT技術は、今後も進化をし続けることでしょう。そして、その技術をいち早く使いこなすのは、柔軟な思考に長けた若者であるにちがいありません。現在の世界には、解決が不可能ではと思われるほどの難題が山積していますが、この難題を解決できるのも、アダムの活躍を鑑みると若者なのではないかと思わされます。アダムは自伝の中で、「若さの最大の武器は、人生経験がなく自分に何ができないか知らないことだ。」と言っています。難題山積の今こそ、もっと若者の力を活用すべきなのではないでしょうか。

生徒たちにも、将来「若者の力」を発揮して社会のリーダーになってほしいものです。

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