校長だより

Change.org

2015年7月21日

今年の6月に公職選挙法が改正され、選挙権を得る年齢が 18歳に引き下げられました。海外在住でも、現時点で17歳に達していれば在外選挙人名簿に登録ができ、来夏実施の参議院通常選挙でさっそく投票することができます。これは、私たちの生徒も国政選挙に投票ができるようになるということです。しかし、立候補者の顔を見ることもできず、演説も聞けない海外で、生徒たちは、どのように政治に関わっていけるのでしょうか。

政権を担う人々を選ぶ選挙に投票することは大事で、彼らにその意義を声を大にして伝えるべきであることは重々承知しています。ただ、海外にいることの問題以前に、政治に興味を持ってもらうこと自体が簡単ではないと思わされます。総務省の発表によると、昨年末の衆議院選挙の20代の投票率は32.6%で、近年では最低でした。若者の政治離れを示す数字ですが、選挙で何がどう変わるのかが見えにくいとすれば、致し方ない結果だと思わざるを得ません。若者に政治参加を促したいなら、まずは政治は面白い、参加することによって何かが変わるかもしれないと思ってもらうしかないでしょう。私たちの生徒である高校生には、選挙の前に、政治は面白いものだと感じるところから始めてほしいと思います。

さて、生徒に政治への関心を促す良い方法はないかと考えていたところ、Change. orgというサイトがあることを知りました。Change. orgは、スタンフォード大学のクラスメイトだったベンさんとマークさんが2007年に立ち上げた、ネット署名を目的としたサイトです。現在では、世界で1億人以上の人々が、このサイトを通した署名運動に携わり、日本版もできています。社会のしくみにおいて困ったことや問題があれば、個人でも問題点を指摘し署名を募ることができるのが特徴で、肥満児の問題解決に向けて世界中の学校に食育教育を、と訴えるジェーミー・オリバーさんのキャンペーンには、150万人以上の署名が集まっています。英国版には50万人規模の署名が集まっているキャンペーンが多いのに比べ、日本版はまだ多くて数万人です。しかし、フランクフルト空港でバイオリンを押収された世界的なバイオリニスト堀米ゆず子さんが5千人以上の署名を集め、その後バイオリンは無償で返却されるなど、影響力が出始めています。

政治への参加となると、とかく選挙での投票だけを思い浮かべがちですが、このサイトを見ていると、自分も何かを変えることができるのではと思わされて愉快になってきます。このネット署名なら、選挙権がない子供でも署名を通して発信者に賛同できますし、また子供が発信者になることもできます。

ところで、Change. orgは面白いですが、社会に対する問題意識が低ければ、活用したいとは思わないでしょう。やはり、社会の問題点について事あるごとに家族で話をすることが大切なはずです。

ここ最近は、国政について、安全保障法案の衆議院での可決、18歳選挙権を受け高校教員に政治的中立を求め逸脱した場合は罰則を科すという法改正の提案問題、新国立競技場の総工費をめぐる問題など、話題に事欠きません。この夏は、ご家族で大いに議論をしていただければと思います。

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