帰国枠入試相談室

第64回 中学編入と学校選びの際の注意点

2015年9月4日

昨今、父親に急な辞令が出て帰国を余儀なくされる生徒が増えています。このような場合は、親子ともども帰国後に備えた準備が手薄で、子供の帰国後の学校選びなどを巡って慌てる家庭は少なくありません。そこで今回は、帰国後の学校選びと注意点についてお伝えします。

〈公立中学校へ編入〉
帰国後の学校として公立校を選ぶ場合は、帰国先の自治体の教育委員会に連絡をして、自治体所定の手続きをすることになります。手続きの際には、成績表などを提出させる自治体もありますので、連絡は帰国前にすると良いでしょう。なお、学区外にある帰国子女受け入れ重点校を希望する場合は、その重点校がある教育委員会に相談をしてください。原則としては、学区内居住者が対象ですが、教育委員会などの承認が得られれば通学が認められることがあります。公立の帰国子女受け入れ重点校については、海外子女教育振興財団が発行する「帰国子女のための学校便覧」で知ることができます。

〈国立・私立中学校へ編入〉
国立・私立校に編入を希望する場合には、学校に直接問い合わせをすることになります。左の表は、私どもJOBAが昨年度に行った編入試験に関するアンケート結果の一部をまとめたものです。本年度も昨年同様に編入試験を実施するとは限りませんが、転編入生受け入れの可能性がある学校として捉え、連絡をしてみてください。なお、実施月が決まっている学校でも、できるだけ早い時期に連絡をすることをお勧めします。試験範囲は、私立学校では先取りした内容であることが多く、早めに対策を取るに越したことはないからです。とはいえ、多くの学校が求めるのは、授業についていくために必要な基礎力を十分に備えているかどうかです。先取り学習をする余裕がない場合は、相当学年標準時の学習内容をしっかりと身につけることが大切です。

ところで、国立・私立校の編入試験の際には、主要教科に加えいずれの学校でも面接試験を行っています。面接試験で多くの学校が帰国子女に期待するのは、現地の人との交流や異文化体験です。現地校生の場合には、学校生活において何事にも積極的に取り組むことが大事でしょう。日本人学校生であれば、地域のスポーツクラブに入るなど、学校以外にも交流の場を持たせたいものです。なお、親が現地の人との交流を大事にしている姿を子供に見せることは大切で、子供たちはその姿に大いに勇気づけられるはずです。

さて、私立校の編入には注意が必要です。一つは、入学後に先取り学習をしている学習内容についていけるかどうかです。もう一つは、学校の雰囲気や大学受験時を見据えて本人に合った学校といえるかどうかです。上記において問題がない学校が探せたなら、大学受験までの準備期間が長いなど編入のメリットは大きいと言えます。ただ、帰国先の公立中学校に学級崩壊などの問題がある場合は別ですが、是が非でも私立校に編入しようと構える必要もないでしょう。高校受験を目指せば、学校の選択肢が増え、受験勉強を通して学力のみならず精神面もずいぶん鍛えることができるからです。

<編入試験を実施する主な帰国子女受け入れ中学>

(表をクリックしていただくと、大きな表が表示されます。)

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