校長だより

漢字の学習

2017年6月17日

私どもJOBAの小・中学部では、各教室で5月から個人保護者会を開始しています。私もその中に入り、保護者の方のお話を伺い、また担当教師に様子を聞く中で、改めて漢字の習得に苦労している生徒が多いことを知りました。

日本にいても漢字を覚えるのは大変なことですから、現地校に通う生徒が漢字を覚えられないのは、致し方がないことです。英語の習得と現地校の学習についていくだけで精一杯な様子が見られる中、さらに漢字の学習もしっかりと取り組みなさい、とはなかなか言えないでしょう。

それでも、いずれ日本に戻って生活をするのであれば、漢字の習得は必須です。そこで今回は、現地校生が学校での学習や英語の習得を目指す中で、どのようにバランスをとって漢字の学習に取り組めばよいかをお伝えしたいと思います。

現地校に通うのであれば、できるだけ早いうちに学校での学習についていけるだけの英語力を身に着けることが大事です。知識の幅を広げ、物事を深く考える力をつけることは、学校生活を送る中で何より大事なことですが、英語力がなければ、現地校ではそれができません。現地校での学習内容が理解できない状態のまま学校に通い続けるのは、子供たちにとってこの上なく辛いことです。ですから、学校の授業についていけるだけの英語力が身につくまでは、英語に関する学習に多くの時間を割くべきです。

しかし、国語の学習を全くせずに、英語の学習だけに時間を割くのは、禁物です。これまでに少なからずそのようにしてきた生徒を見てきましたが、その子たちは、その後国語の学習を始めて何年経っても、また日本に帰国してからも、努力はしているのに、漢字や国語力がなかなか身につかないのです。その要因の1つは、国語の学習を先延ばしにしているうちに、覚えるべきことが多すぎて、学習が追いつかなくなってしまうということでしょう。常用漢字は2136字あり、音読み・訓読みに加え、それぞれの漢字を組み合わせた熟語も含めると、それぞれの学年で覚えるべきことは膨大にあるのです。もう1つの要因は、学年相当の国語力が欠けた生徒に適切な学習方法を取らせていない点です。学年相当の国語力がない生徒には、学年を落とした教科書を使った学習や、場合によっては「外国語」として「日本語」を学ぶといったアプローチが必要です。それにも関わらず、無理をして学年相当の学習に取り組ませようとすると、ますます学習内容がわからなくなってしまうのです。

以上のようなことを考えると、現地校に入ったばかりのころは、現地校の学習にかける時間と日本の学習にかける時間の比を8対2に、現地校の学習に慣れてきたら徐々に7対3、6対4というように、日本の学習にかける割合を増やしていけばよいでしょう。漢字の小テストでいえば、しばらくは100点中50点を目指し、徐々に60点、70点と目指せばよいのです。なお、くれぐれも注意が必要なのは、常に満点を目指す必要はないということです。もちろん目指せる余裕があるときはそうすればよいですが、現地校の学習と日本の学習のどちらかで満点を目指すと、片方にしわ寄せがきて、良いバランスを保てないことがよくあります。実際にバランス良く日本の学習や漢字の学習に取り組むのは容易なことではありません。また、海外で日本語を伸長するには、週に数時間の塾の学習だけでは不十分であり、ご家庭とのタイアップのもと、毎日の積み重ねが必要不可欠です。

学年が上がるほど大変になるのが漢字の学習ですが、実は、それほど苦労した様子を見せずに漢字で高得点を取る現地校生も少なくありません。この生徒たちの特長は、それまでにコツコツと漢字の学習を積み重ねてきたことです。現地校に通う中でも、毎日少しの時間で構わないので、漢字の学習をするよう仕向けることが、親ができる最高のサポートといえるかもしれません。

その際に、一点のみご注意点があります。漢字を読めない・書けないことを一切非難しないことです。読めるよう、書けるようになるためには、親や教師の側があの手この手を使ってサポートすればよいだけで、非難は厳禁です。採点をしてあげるときにも、間違いを無くすことに注力するより、合っていたものを褒めるだけで良いのです。同じのものに何度も取り組むという手を使えば、叱らずとも徐々に間違いは減るはずですから。くれぐれも漢字が嫌いな子供にはしたくないものです。

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