校長だより

差が出るのは基礎力の違い

2019年12月3日

講習会の楽しみの一つは、いつもとは違う生徒を含め多くの生徒を指導できることなのですが、今年の夏期講習会では、勉強ができる生徒はどこが違うのか、生徒の授業中の様子全体に目を配って答えを探ってみました。特に注意をして見たのは、筆箱の中、姿勢、ノートの使い方です。ちなみに私は、講習会では、算数、数学を担当しています。

予想以上の結果に驚かされたのは、筆箱の中でした。小テストでしっかりと点が取れる生徒たちの筆箱の中は、整然としていて、先のとがった適度な長さの鉛筆が5本ほど入り、消しゴム、赤鉛筆(赤ペン)がそろっていたのです。ついでながら、小学生の場合には、できる生徒たちはシャープペンシルではなく、鉛筆を使っていました。

姿勢にも驚かされました。できる生徒は、話を聞いているときだけでなく、演習のときにもまっすぐに前を向いて、背筋は伸ばしぎみに取り組んでいました。ノートについては、先に述べた二点から比べると人数は減ったのですが、メモ、図示、式、計算に適度なスペースを取っていた生徒は、小テストもよくできていました。

できる生徒は、この三点がそろってよくできていたのです。一方で、小テストの結果が不十分だった生徒は、三点すべてがおろそかにされていました。この違いには、改めて驚かされました。勉強以前の取り組みが、これほどまでに違いを生じさせるものかと思ったのです。ただ、よく考えてみれば、整理された筆箱、正しい姿勢、適切なノートの使い方のいずれもが、効率よく脳を働かせる上で、大事な働きをしていたといえるのでしょう。そして、それらが習慣として身につけば、大きな力につながるのだと思いました。

三点がそろってできていた生徒の数はクラスにより違いましたが、平均すると私が見た生徒の2割弱だったため、危機感を覚えて、このような文章にしています。「基礎」を定着させるのは、難しいことなのでしょう。世の中でも、基礎こそ大事だとよく言われるのは、基礎をないがしろにしている人が多いことの現れなのかもしれません。

 

実は、夏期講習会では、上記の三点に加えて、文字にも注目しました。できる生徒の多くは、濃く見やすい文字を書いていました。一方で、薄く弱々しい文字を書いている生徒の中には、算数・数学の理解に問題を抱えている生徒が多くいました。これらは予想通りですから、上記の三点ほど気には留めませんでした。ところが、以前から見ている生徒の文字に注目したところ、重大な変化に気づきました。もともと弱々しかった文字が、力強い文字に変わっていたのです。この生徒の算数の理解力が上がっていることは普段の授業を通してわかっていたものの、文字の変化には気づかずにいました。

できる生徒の多くが、濃く見やすい文字を書くこと(なぜかひどい文字を書くのにできる生徒もいます)はわかっていましたので、薄く弱々しい文字や小さい文字を書く生徒には、何度も直すように注意するのですが、どう注意しても直りません。正直なところ、文字を直してもらうことはあきらめていました。ところが、上記の生徒の変化を見て、解決法を教えてもらえたように思えました。文字は人の根本の現れであって、直そうとするものではなく、根本に目を向けることが大事なのだと気づけたのです。

文字は前述の三点とは性質が異なり、改善するには、きれいな文字や濃く力強い文字を書くための直接的な努力をする以前に、すべきことが他にあるということだと思います。文字に変化が見られた生徒の場合は、算数がより深く理解できるようになり、自信がでてきて、その結果が文字にも現れたのでしょう。ちなみに、この生徒が大事にしたのは、算数における徹底した基礎力向上です。

 

勉強ができる人になるために大事なことは、筆箱・姿勢・ノートのような形の上での「基礎」に加え、学習面における基礎の徹底なのです。基礎は発展をするための礎です。JOBA生においては、生涯にわたって基礎を大事にして、飛躍を遂げてほしいものです。

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