日本のJOBAで、海外の高校生を対象にした日本語スピーチコンテストおよび日本の高校生を交えた異文化交流プログラム(総称JSA)を毎夏に行っています。今年で17回目になり、英国を含む14カ国から、16人の各国代表が7月末に一同に会する予定です。
先日この英国代表を選ぶための選考会に参加しました。この選考会は、英国日本語教師会が実施する「日本語カップ(協力:日本大使館、国際交流基金)」に、JOBAが「JSA」への参加権を商品に掲げて協賛する形で行っており、私は審査委員として参加しています。
オリー・ケープホーンは、一昨年の英国代表として「JSA」に参加した青年で、今年も「日本語カップ」の応援に駆けつけてくれました。一昨年のオリーのスピーチには、その迫力と説得力のある話し方に審査員全員が魅了され、迷うことなく彼の優勝を決定しました。オックスフォード大学に行った彼は、仲間と英語による日本語学習用WEBを立ち上げ、今回の参加はそのプロモーションも兼ねていました。彼の専門は法律で、この9月からはパリ大学に1年間留学し国際法を学ぶそうです。法律の勉強だけでも大変であろうと思われますが、フランス語も修練し、パリ大学への留学には全く不安はないとのことでした。また、折角身につけた日本語のレベルは落としたくなく、学業の傍らで、これからも日本語学習用WEBの発展に関わっていくとのことでした。オリーに将来のことを聞くと、「法律がわかっているだけでは、仕事には就けても役に立てない」と考えており、日本語は彼の独自性を示すためにどうしても欠かせないとのことでした。
オリーと昨年の英国代表は、今年の「JSA」にもボランティアとしてそろって参加してくれるそうです。「JSA」が彼らにとって有意義な存在になったことを嬉しく思うのと同時に、彼らの行動力には驚かされます。JOBA生の中からもオリーのような生徒がどんどん出てきてほしいものです。
さて、実はそんなオリーも初めから行動力にあふれるような青年ではなかったようです。彼は3年前にも「日本語カップ」に出場しており、その時は優勝はできず、準優勝に終わりました。オリーはその結果に甘んじ、またAレベルの勉強で忙しかったこともあり、翌年の参加は当初考えていなかったそうです。ただ、そのことを歯がゆく思った担当の日本語教師が背中を押し、その気にさせて優勝を勝ち得ました。担当の日本語教師の話からは、オリーも一昨年の再チャレンジと成功がなかったならば、今のような姿は見られなかったのかもしれないと思わされました。
タイミングの良いひと押し、私たちも心掛けたいと思います。