多くの受験生の姿からは、不安を抱えながらも、受験に強く立ち向かおうとする様子が窺えるようになってきました。一方で、この時期にやる気が感じられない受験生がいるとすれば心配です。毎日一緒に生活をしている親御さんにとっては、その不安は尚更でしょう。そこで今回は、そんな子に家庭ではどんな声をかければよいか、この月例通信に、「親業ワンポイントアドバイス」を寄稿くださっている「親業インストラクター」の松浦さんに倣って、子供との会話例を考えてみました。
母 だらだらしていないで、さっさと2階に上がって勉強しなさいよ。
子 うっせーよ。
母 母親に向かって、「うっせーよ。」とは何よ。
子 うっせーからうっせーんだよ。
(普通は、こんな会話になりがちだが、私メッセージに切り替える。私を主語にして気持ちを伝える。)
母 受験がもうすぐだというのに、あまり勉強していないように見えて、母さんは心配でたまらないのよ。
子 母さん、僕、ちゃんと勉強しているよ。
(次は堪えて、能動的聞き方を!相手の意を汲む。)
母 そう、ちゃんと勉強してるのね。
ところで、塾の先生の話だと、この時期は過去問にどんどん取り組むといいそうなんだけど、どのくらいやったの?
子 ○○高校を2年分やったよ。
母 2年分は終わったのね。(少ないと思っても堪える。)
あと何年分残っているの?(切り替え)
子 全部で7年分あるから、あと5年分。
母 この前の面談では、他に3校受けることにしたわね。全部で何年分の過去問があるのかしら。
(責めることなく淡々と聞く)
子 う?ん、数えるの面倒だな。
母 数えるの面倒なのね。
子 しょうがないな。数えてみるか。
「勉強しなさい!」というだけでは、子供たちは反発をするだけで大きな効果は望めません。上記のような例では、「私メッセージ」を使い、自分の気持ちを素直に伝えるとよいでしょう。また、「能動的聞き方」をすることも大切です。もし今、受験生からやる気が感じられないとしても、心配をし過ぎることはありません。基礎力がついていれば、まだまだ挽回はできるからです。勉強しないのは、認識不足のほか気持ちに問題があるからで、それらの問題が解決できれば前進するはずです。なお、それらの問題の多くは、子供自身で解決できるはずです。