中高入試を間近に控えた時期となって、特にお父様方の頑張りが生徒を通してひしひしと感じられるようになってきました。そして悔しいかな、真剣になったお父様方には私たち教師も敵わないと思い知らされています。お父様がぴったりと寄り添って指導なさっているご家庭の生徒は、ぐんぐんと実力を上げてきているのです。
この時期の受験生は、自分の置かれている状況を完全に理解し、どんな子でも不安に苛まれはじめます。このような時には、叱責は言わずもがな、言葉だけの励ましよりも寄り添うことが大事なのでしょう。普段は仕事で忙しく、あまり構ってくれなかった父親が、一緒に問題を考えてくれるようになったとなれば、母親だけのときよりもどれだけか心強いはずです。
今年も素晴らしいお父様方がいらっしゃいますが、忘れられないあるお父様のことを以下にはご紹介したいと思います。
その生徒は、受験の際に一人で帰国しJOBA寮に入り直前講習会に参加しました。ところが1月の帰国枠入試では、第1志望校、第2志望校ともに不合格になってしまったのです。まさかの結果に驚いた私はすぐに電話をし、まだチャンスはあるから心配をする必要がないことを伝えました。このとき、そのお父さんは、私にはできないことを即決しました。仕事のスケジュールを全てキャンセルし、翌日のフライトで日本に向かったのです。このことが功を奏し、それ以降本人は、お父さんが英国に戻った後も落ち着いて勉強に取り組めるようになったそうです。そして何と2月の一般入試で第1志望校、第2志望校の両方に合格したのです。
上記は、居ても立ってもいられなくなるような状況ではありますが、果たして誰もがこのお父さんのような即断ができるものでしょうか。
この事例からは、寄り添うことの大切さと父親のみに備わった力を感じずにはいられません。
子供の基礎力を育み生きる力を養うことに長けているのが母親だとすれば、いざというときに大きな力を発揮して子供を前進させる能力に長けているのが父親だと言えるかもしれません。
今もし子供が困難に直面しているならば、この能力を活かさない手はないでしょう。お父様方にとっても、悔 いのない受験になりますよう祈っております。