校長だより

人工知能に負けない人に

2015年1月28日

1月の小中学生向け特別授業では、昨今著しい進化が見られる人工知能について取り上げ、人工知能が社会に及ぼす影響や注意点について考えてもらいました。今回のコラムでは、この特別授業の内容をご紹介するとともに、この授業を通して考えた子育て上の留意点についてお伝えします。

人工知能技術において特に大きな進展が見られたのは2012年のことです。スタンフォード大学の人工知能研究者が「ディープラーニング」という機能を搭載したコンピューターに、ユーチューブ上の1千万にもおよぶ画像を読み込ませたところ、画面に猫の顔を描き出しました。この「ディープラーニング」に組み込んだプログラムは、ユーチューブ上で最も特徴的な画像を点、線、形の順に段階的に選ばせるようにしただけでしたが、その解答が猫だったわけです。この結果が意味するのは、大量のデータが入れば「ディープラーニング」は自ら人間の脳のように思考を重ね最適なものを選ぶことができるということです。人工知能の研究者たちは、順調に研究が進めば2030年には自ら考えて行動ができるロボットが誕生するだろうと言っています。

2014年段階ですでに人工知能は大きく進化しています。マイクロソフトが作ったSkypeを使った音声自動翻訳システムでは、高いレベルの同時通訳が可能になりました。グーグルの自動運転車は、カリフォルニア州やネバダ州では公道での走行が法令で認められるなど安全面における信用を勝ち得ています。医療関係では、レントゲン画像をもとにコンピューターによる健康診断が可能になり、患者の症状や遺伝子、薬歴などからそれぞれに合った最良の治療計画を作ることに成功しています。

夢のような技術が生まれ喜ばしい反面、気になるのは子供たちの将来の仕事です。多くの業務がコンピューターに取って代わられるようになれば、就職は一層厳しくなるかも知れません。一方でIT業界は活況を呈し多くのプログラマーを必要とするでしょうが、プログラムは誰もができるような代物ではないでしょう。これからの社会ではいったいどんな人が必要とされるのか、人工知能が本格的に始動する前に、今は親も教師も子供の将来のために何ができるのかじっくり考えるべき時だと思わされています。

グーグルの人事担当責任者が公表している採用時に求める5つ特性は参考になりました。それらは学習能力、リーダーシップ、責任感、謙虚さ、専門性だと言っています 。専門性以外は学校生活や家庭生活を通して身につけられそうなことばかりで、日々の生活を前向きに過ごしてもらうことが大事なのだと思わされます。ただこれらだけでは、コンピューターに凌駕されてしまうのではないかとも思いました。常にコンピューターを操る側に立つには、社会を良くしたいという強いモチベーションが必要なのではないでしょうか。このモチベーションを子どもたちにもってもらうには、まずは世の中の現状や未来の予測を子どもたちにしっかりと伝えていくことでしょう。本年もJOBAでは、特別授業や通常授業を通して子どもたちにたくさんの刺激と考える機会を提供していきます。社会に貢献でき力強く生きていける人に育てたいと思います。

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