JOBA本部が行った学校への入試アンケートをもとに、2014年度の首都圏の主な帰国枠中学入試実施校の受験者数と合格者数(2月4日段階判明分)を表にまとめました。以下には、過年度と比較した本年度入試の特徴および受験に向けた注意点をお伝えします。
<帰国枠中学入試結果>
(表をクリックしていただくと、大きな表が表示されます。)
〈受験者数増加〉
表に示した学校の総受験者数を比べると2014年度は2013年度に比べ336人増えました。過去5年の総受験者数の中でも今年度は一番多く、帰国枠新設校2校(東京都市大附属中および聖心女子学院)の受験者数を考慮しても、今年の受験者実数は近年では最も多かったのではないかと考えられます。一方、合格者総数は140名の増加に留まったため、平均倍率(のべ受験者数÷のべ合格者数)は1.77倍から1.85倍に上昇しました。それでも、2011年度までの平均倍率は2倍を越えていましたので、首都圏の帰国子女中学入試の易化傾向は変わっていないと言えるかと思います。
〈今年度の注目校〉
入試科目の設定を変えた海城中学、聖光学院ともに受験者が増えました。海城中学では、英語を課す入試を設けたことにより英語圏からの帰国生が増え、聖光学院は、これまでは国語・算数・英語が入試科目でしたが、国語・算数か算数・英語のいずれかで受験ができるようになったため、日本人学校出身者や非英語圏から帰国生が増えたものと思われます。帰国枠新設校の東京都市大附属中学は、帰国生を受け入れる意気込みを力強く訴え続けたことが功を奏し、1年目にして145名もの受験生を集めました。
〈人気校の倍率〉
2倍の倍率を乗り越えて合格を勝ち取るのは容易なことではありません。一般入試に比べて倍率が低い帰国枠入試でも、人気校の中には3倍を超えている学校もあります。本年度、3倍を超えたのは以下の学校です。渋谷教育学園渋谷(国算英型4.31倍、国算作型3.19倍)、洗足学園B入試(3.60倍)、海城B入試(3.56倍)、渋谷教育学園幕張(3.21倍)、聖光学院(3.15倍)。なお、英語の問題が難しい渋谷教育学園渋谷と渋谷教育学園幕張では、語学力に長けていると思われる女子の合格者の方が多く、男子だけの倍率で見ると、渋谷教育学園渋谷(国算英型男子7.33倍)、渋谷教育学園幕張(4.91倍)となっています。
〈併願校の決め方〉
来年度の受験生の保護者の方々にとって、今は情報収集に余念がない頃かと思います。この時期には第一志望校の他に、併願校を決めてほしいところです。併願校を決める際に大切なことは、倍率の低い学校を併願校の一つにすることです。また、それらの学校の中から、第一志望校よりも早い日程の学校を少なくとも一校は探すことが大切です。第一志望校の前に合格を勝ち取れば、子供は自信を持ち、次の意欲に繋げやすいからです。倍率が低いから学校全体の評価も低いというわけではありません。表に上げた帰国子女受け入れ校には魅力の多い学校が少なくありません。学校案内書を手に入れ、また実際に学校を訪問するなどして、数字には表れない学校の取り組み全体を知り、お子様に合った学校を探してほしいと思います。