校長だより

子供を変える方法

2015年10月7日

受験生を抱える保護者の方から、受験を控えながらも一向にやる気の感じられない子供に業を煮やし、子供を変えるにはどうしたらよいかと、ご相談を受けました。そこで今回は、子供をより良く変える方法について、先日訪れた高校部個別指導担当の教師宅での出来事を通して考えてみたいと思います。

この教師は年配者で体力の関係から、教室ではなく自宅でJOBA高校部の生徒の個別指導を担当してきました。私がこの教師を訪ねた理由の一つは、個別指導を担当してもらったある生徒の様子を知りたかったためです。この生徒は1年半ほど集団授業の教室に通っていたのですが、数学・物理・化学の学習の強化を目的に、途中から個別指導に切り替えました。1年半ほどこの教師宅に通い続けた後、この生徒はある高校の編入試験を受け、合格を勝ち取りました。この学校への編入は決して楽ではなく、正直なところその結果に驚かされました。つまり、私はこの生徒がそこまで伸びるとは思っていなかったのです。集団授業のときの本人は、「やっと理解してもらうことができた。」と思って翌週を迎えると、先週のことがすっかりと抜けているようなことが多かったためです。また、年齢に比べて話す内容が幼いと感じていたからです。

さて、私が訪れた教師とその奥さんの話を聞いていると、2人がこの生徒に抱いていたイメージと私の持っていたイメージに違いがあることに気づきました。この生徒の話に及ぶと話が全く噛みあわなかったのです。

この教師はこの生徒を心の底から「天才」だと思っていました。よくよく話を聞いてみると、私とは違う面からこの生徒をみて評価をしていたことがわかりました。私は基礎力をつけてあげたいと考えて接していたのに対し、この教師はこの生徒の発想力に注目していたのです。

奥さんの話では、初めのころの本人はうつむきがちで、歯に衣着せぬ奥さんは、「あなたからは全くオーラが感じられないわよ。もっと自信を持ちなさい。」と毎度声をかけたそうです。ただ、このような声掛けだけでなく、授業後には毎度お茶をしながらあれこれと1時間ほどお話をしました。こうしたことを繰り返すうちに、教師も奥さんも本人の様子が少しずつ明るくなっていることに気づいたそうです。1時間のお話の内容も、徐々に社会での出来事やその考察にも及ぶようになり、その内容に十分についてくるようになったそうです。

私は2人との話を進める中で、私と2人の違いについて考えていました。私の中では、この生徒に精一杯接した自信があったのですが、反芻するうちに自信がどんどん揺らいでいきました。そしてその違いが何なのかよくわかったのです。

それは信じる力の違いでした。この教師の思いは先ほど述べた通りですが、奥さんもこの教師以上に、「この子は輝くようになる。」と信じて声掛けをしていたのです。

子供を変える方法について、このお話がお役に立てばと思います。受験で成功する方法については、先日の受験説明会でお伝えした通りで間違いないはずです。受験生が成功すること、そして保護者の皆様が子供を立派に支えられることを強く信じています。

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