校長だより

入試と面接試験での成功を祈って

2017年11月24日

【千代田インターの説明会を終えて】

先日行った千代田インターナショナル・スクールの説明会には、合計42のご家族の方にお集まりいただきました。ご夫婦でいらしたご家庭も多かったため、参加人数でみるとその倍近くいらしたことになります。正直なところ、これほど多くの方々に集まっていただけるとは考えていなかったため、その関心の高さに少し驚かされました。さらに、いただいたアンケートを拝見し、また、参加された方々のお話を伺って、その内容にさらに驚きました。

この説明会の企画の段階では、校長である大迫先生とやり取りをして、日本のインターナショナル・スクールの学校説明会にはあまり興味を持っていただけないだろうから、日本でインターナショナル・スクールに入るとはどういうことかを説明する機会にしようと考えました。そのため、説明会のタイトルを「インターナショナル・スクールという選択」にしたのです。ところが、実施後に、制度的な話よりも、学校の教育内容をもっと具体的に知りたかった、というような内容のコメントやご意見をいただきました。このとき初めて、私は参加してくださった皆様のお考えを読み間違えていたと気づきました。

私どもの教室に通う生徒は、これまではほとんどが、日本に帰国をする際には帰国枠のある一条校を進学先として選んでおり、一条校ではないインターナショナル・スクールに進学する生徒はごくわずかしかおりませんでした。ちなみに一条校とは、学校教育法第一条に定められた学校の総称で、文部科学省の定める学習指導要領に沿った指導をしている学校のことです。言い換えれば、一条校の高校を卒業した生徒は、日本の大学の一般入試やAO入試の受験ができますが、一条校に当てはまらないインターナショナル・スクールに進学すると、国内での進学が限定されるのです。

そのような事情を考えて、日本のインターナショナル・スクールを皆さんにお勧めするのは、時期尚早だと私は考えていたのです。それでも千代田インターナショナル・スクールの学校説明会を請け負ったのは、日本でも、帰国生に限らず、IBディプロマを取得した生徒に対しても門戸を開いた大学が増えてきていたからです。私の念頭にあったのは、あくまで日本国内での大学進学のことでした。

しかし、このような制度的な話よりも、千代田インターナショナル・スクールの教育内容そのものをお知りになりたかったということは、参加された方々は、すでに子供たちを海外の大学に進ませることを当然の可能性として考慮されていたということでしょう。また、その上で、子供を本当に伸ばしてくれる学校はどこなのかを見極めようとなさっていたのだ、と後になって気づかされた次第です。

【ふと目にした元塾生の活躍ぶりより】

以上のようなことを考えていた矢先に、朝日新聞の一面に目をやると、見覚えのある名前を目にしました。記事をよく読むと、小6までJOBAロンドン校に通っていた元生徒であることがわかりました。内山慧人くんです。内山くんは、渋谷教育学園渋谷中学に入学後、ハーバード大学に進み、アメリカで、フェイスブック本社に入社しました。内山くんは、「大学も会社も日本にこだわりはなかった。大事なのは新しい挑戦があるのかどうか、場所は関係ない。」と朝日新聞の記者に語っていました。

日本にある外資系企業に就職する元生徒は多いですが、内山くんのように、外国で海外企業の本社に就職する人はまだ多くはありません。それでも、日本の大学の交換留学制度が普及した現在、日本での大学進学後に留学する元生徒は確実に増えています。語学力やコミュニケーション力に一層の自信がつけば、今後は内山くんのように、駐在員としてではなく、海外に拠点を置く人は増えていくことでしょう。

【悩ましいこと】

これからの時代は、あらゆる分野で、地球規模で取り組むべき仕事がますます必要となるはずです。だから日本人も、内山くんのように、日本にこだわりなく、どんどん世界に出て活躍してほしいとは思います。ただ、一方で、日本の将来のことも心配です。国および地方の長期債務残高は1千兆円を超え、社会保障費も嵩み続ける中、いったい誰が、皆が納得のいく国家財政の正常化に向けた解決案を出せるのでしょうか。国債を四十%も抱えてしまった日銀の将来も心配です。少子・高齢化が進んだ街の再構築は、どのように進めればよいのでしょうか。挙げていけばきりがないほど、日本の問題は山積しています。

【面接試験での成功を祈って】

前述の内山くんがフェイスブック本社に入社できたきっかけは、東日本大震災のときに、日本にいる友人の直近の書き込みを一覧できるソフトをつくり、そのソフトがフェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグ氏の目に留まったことでした。そのように日本とのつながりを大切にする内山くんですから、自国で働くことにこだわりはないとは言いながらも、今も日本のことを思わずにいる日はないことでしょう。生徒の皆さんには、世界に目を向けながらも、日本のより良い将来にぜひ貢献してほしいと思います。

今、JOBAの中高受験生は、いよいよ差し迫った入試に向けて、教科の勉強に加え、願書に書き込む志望理由の作成や面接の練習に余念がありません。願書作成や面接の指導をしていると、現生徒の中にも、将来は海外で活躍したいと考えている生徒が数多くいることがわかります。ぜひ希望を実現させてほしいと願うものの、面接では、いつか日本の役に立ちたいという言葉も聞きたいと思わずにいられません。日本の受験校の先生たちも、それを聞ければたいへん喜ぶことでしょう。

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