JOBAロンドン校では、毎月生徒に達成してほしい目標を一つ掲げ、教室全体で呼びかけています。6月の目標は、先日月例通信でお伝えした通り「ロンドンを知ろう」です。今回は、この目標を決めた経緯や目標達成に向けた提案などをしたいと思います。
「英国に来てからバスや電車に乗ったことがありません」、「スーパーで買い物をしたことはありません」、「公園に行ったことがありません」、「シティーって何ですか」。―これらは、いずれも教師が生徒たちから実際に聞いた言葉です。この類のことは、以前はあまり聞いたことがなかったのですが、最近は、教師間で話を始めると尽きることがないほどにでてきて、なぜなのかと考えさせられています。
ビザの関係で滞在期間が短くなったことが影響してか、ご家庭に時間の余裕がなくなり、子供の勉強面と習い事の支援で精一杯なのかもしれません。生徒たちも、英語力をいち早く身に着けようと必死で、学校の宿題やJOBAの宿題、その上習い事もありで、通常の休みに行楽を目的に外に出る気は失せてしまっているのかもしれません。あるいは、外に出なくても、インターネットを通して何でもできるので、それで満足しているのかもしれません。原因はよくわかりませんが、「身近な外」にでる機会は、以前と比べて減っているといえるようです。
このような状況を、少しでも改善できればと考えて決めたのが今月の目標です。英国での生活が実り多く豊かなものであってほしいとの思いが一番ですが、受験での面接・作文対策につながることも意図しています。以下は、中学受験の際の課題の一部です。参考にしてくださればと思います。なお、高校受験や大学受験でも同内容を課す学校が多いこともご承知おきください。
「日本と滞在国の違い(作文課題または面接での質問として 出題校多数)」
「滞在国の良いところ(作文課題または面接での質問として 出題校多数)」
「あなたが住んでいた海外の国やまちの良い点や好きな点を3つ書きなさい。また、選んだ理由を具体的な経験を交えて書きなさい。(学習院女子中学の作文課題)」
「あなたの滞在国について一番伝えたいことは何ですか。(立教女学院中学の作文課題)」
今回の目標を、「英国を知ろう」ではなく、「ロンドンを知ろう」としたのは、まずは身近なところから理解を広げてほしかったからです。ロンドン在住でない場合には、自分の住んでいるところを詳しく知ることから始めてほしいと思います。
さて、上記のような理由で、生徒が「身近な外」に出る機会が減っているとしたら、たとえ受験の作文や面接で日英の違いを聞かれると知っていても、自ら生活スタイルを改善して対策するのは容易ではないと思わされます。そこで以下には、上記のような理由を想定した上で改善策を提案させていただきます。
正直なところを申し上げると、子供たちは「親の心子知らず」で、どんなに努力してあちらこちらに連れていっても、その有難みを知り、また魅力を知りえることはないかも知れません。それでも、何か1つでも良いから、興味の持てることを見つけてもらおうと努力することは無駄ではないと思います。
6月の特別授業では、各教師の考えるロンドンとその近郊の魅力や、魅力の探り方を用紙にまとめて伝える予定です。ロンドンは、演劇、文学、歴史、音楽、科学、自然、スポーツ、教育、政治、多民族社会など、諦めずに探しさえすれば無限の魅力にあふれている都市です。教師の考える魅力も多種多様ですが、魅力の探り方のヒントを伝えることができればと思います。
最後に、私の考えるロンドンの魅力の探り方をお伝えしたいと思います。
英国好きの生徒と保護者の皆様が増えることを心より祈っております。
追伸:面接練習の際に、英国の魅力を伝えられない生徒が多いこと、旅行といえば海外ばかりだったことを知り、少しでも生徒に英国の魅力を伝えたいと思い、それまでの遠足の趣向を変えて2005年に始めたのが、Jトリップです。これまでには、ローマの遺跡があるSt Albans, 世界遺産のIron Bridge, 英国一魅力あふれるLongleat サファリパーク、化石が今でも取れるLyme Regis, 風車を目の前にどこまでも広がる海岸が魅力的なComber Sands Beach, ヘイスティングの戦いで有名なBattle, 英国の森林活動を知る上で要所であるNew Forest, ラムサール条約湿地に認定されているLangston, 産業革命時代の炭坑やカナルの利用の様子を知ることができるBlack Country Museumなどに出かけ、昨年はかつての王立天文台、そして今年は、ラムサール条約締結にも大きな影響を及ぼしたWWTの本拠地Slimbridgeに行きました。
また、同じく2005年に保護者の皆様のご協力を得て作ったのが、今回塾生のみなさまにお配りした「英国内、子供たちを連れていきたい見どころ」です。何度か改訂しましたので、今もご活用いただけるかと思います。なお、お薦めの場所を見つけられた際には、ぜひご連絡ください。