イベントのご報告

Jトリップ2019

2019年6月12日

5月5日(日)に校外学習「Jトリップ」に行ってきました。本年は、ロンドンの下水処理の現状と歴史を知ることを目的に、ウェストミンスターからテムズ水門まで船で下り、クロスネス旧ポンプ場の博物館を見学しました。

まず、「なぜ下水処理でポンプ場なのか」という点に疑問をもたれた方も多いのではないかと思います。

19世紀に築かれたロンドンの下水道は、標高差を利用して標高の高い所から低い所へ流れるよう経路を工夫していました。ところが、地形が平坦になるロンドン東部では、下水道を円滑に流すために傾斜をつける必要があったため、下水をテムズ川に放流するクロスネス周辺では、下水の水面はテムズ川の水面よりも10メートルほど低くなってしまいました。そこで下水を川に流すために、水をくみ上げるポンプ場が建設されたのです。

当日は、博物館の職員の方が木製の模型を用いてポンプの仕組みを詳しく説明してくださり、生徒たちは皆、熱心にメモや写真をとりながら、職員の方の話を聞いていました。また、150年前に築かれた壮麗な建築、そして巨大なポンプを実際に目の当たりにして、当時の下水道事業がいかに壮大なものであったのか、実感できたのではないでしょうか。

博物館に向かう往路では、船を貸し切ってテムズ川を下りました。茶色に濁ったテムズの水面を目にした生徒たちの感想は一様に「きたな?い」というものでした。実は、今日においても19世紀の下水道設備が使用され続けており、雨が降った際には下水道から溢れた水がテムズ川に放流され、それが川を汚しているのです(これを改善するため、テムズ川の地下に新たな下水道「Thames Tideway Tunnel」を目下建設中です)。

あれだけ立派な設備で下水処理を行っていながら、一向にテムズ川はきれいにならない…。この現実を体感することで、ロンドンの街が抱える問題について知り、川を汚さないためにはどうすればよいのか、考えるきっかけになってほしいと願っています。

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