先日、ある教室の中学生が、借りている現地校の教室の物に取り返しがつかないようないたずらをしたことを聞きました。
勉強もできて挨拶もしっかりとできる子が人に迷惑をかけるようなことをしたのには驚きましたが、本人に特に悪意はなかったようです。何も考えることなくただ手が動いてしまったのです。
ときに子どもたちは、相手のことを考えることなく人を傷つけ、または人を困惑させるような言動を発することがあります。経験が足りないために相手の思いにまでは至らないことが多いのが子どもですが、上記のような言動を行った場合には、声を大にして叱ることが大事でしょう。叱るべきときに本気で叱らないと大人になってから大きな過ちを犯すことにもなりかねません。
少し古い本ですが、私の愛読書「やる気が育つ教育のヒント(山本紹之介著)」の中に、叱るべき六つの態度が書かれていますので、その内容を以下に抜粋してご紹介します。 「うそ、わがまま、めいわく、いじわる、さげすみ、ぬすみ、この六つは叱らなければなりません。なぜならどれも自分本位だからです。ところが、こういうことにはあまり厳しく叱らずに、他のことで厳しく叱っている人がいます。叱るべきことと、ゆっくり、静かに話してわからせることとの区別を、その都度よくわきまえることが大切です。そうでないと、子どもは人間としてよく気をつけなければならないこととそうでないことの区別がつかず、大切な問題を軽く考えたり、たいしたことではない問題を深刻に考えたりする恐れがあります。たとえば、食事をしていて子どもがうっかり汁椀をひっくり返します。汁がテーブルの上に流れます。『ぼやぼやしているからよ』『よそ見して食べなさんな』と母親が叱ります。そして母親はあわてて台拭きを取ってきて、『もう、しょうがない子ねえ』などとブツブツいいながら汁を拭き取ります。うっかり汁をこぼしたことは、前述の六つにあてはまりません。こんなときは母親は叱る必要はありません。それより子供に汁を拭かせることが大切です。自分でやったことの責任を取らせるのです。そうしないと甘やかしになります。」
夏休みは、子どもと一緒の時間を多く持てる時期かと思います。家族水入らずで楽しい休暇を過ごしてほしいですが、ときには、厳しく叱らなければならないこともあるでしょう。折角叱るならば、それを機に子どもが大きく成長するような叱り方ができますよう祈っています。