国語力に不安を感じさせる生徒が少なくなく、何とかしなければという思いを強くしています。海外にいるから、現地校に通っているから、国語力が低いのは致し方ないと、ある程度大目に見てあげることは必要ですが、最低限到達してほしい学年相応の一線があります。この一線をクリアしていないと、本人がどんなにがんばろうとしても、何年たっても、普通のレベルにたどり着くのは容易ではありません。
先日、夏期講習会の取り組みの1つとして、プレスタディーと称した授業前のウォーミングアップの時間に、音読と暗誦を行いました。教師の後について読む「追い読み」、テンポを早くして読む「スピード読み」、教師と一緒に読む「同時読み」など読み方を変え、最後は1人ずつ暗誦できるまで練習をしました。このときの子供たちは、リズムとテンポがよかったためか、「勉強」をとても楽しんでいるように見受けられました。
音読と暗誦は、国語の基礎力を身につける上で最も大切なことであると言われています。音読すると、目だけでなく耳からも刺激を受けることでことばが記憶として残りやすくなり、それを暗誦できるまで覚えれば、ことばを自分のものとして使うことができるようになります。
音読は、私たちの普段の授業においても、すべての学年に共通した毎回の宿題とし、大事な学習要素として位置づけています。音読は小学生のときだけすればよいことではありません。正しい読み方や言葉の定着を考えると受験を控えた中学3年生あるいは高校生にとっても有効です。この宿題をしっかりとやっていれば、先に述べた一線はクリアできるはずなのですが、そうでない現状を振り返ると、ご家庭での指導の仕方も見直していただく必要があります。ご家庭で音読を指導する際のご注意点は右欄に書いていますので、ご確認ください。
一線をクリアするために大切なことがもう一つあります。それは、学年相応のレベルに達していない場合、学年を下げて学習し直すことです。いろいろやることがある中大変なことですが、これなくして進歩はあり得ません。この際の教材には、学校用の教科書が最も適していると思われます。
生徒には、思考の土台となる日本語力を強固なものにして、いつか再び世界に飛び立って行ってほしいと願っています。