帰国子女枠を設けている多くの私立中学または国立中学では、入試に英語を課すなど、一般生を対象とした入試とは別に帰国子女対象の特別な入試を行っています。
ところで、帰国子女であれば、誰でも帰国枠入試を受けることができるかというとそうではありません。帰国枠入試にはいくつかの出願資格があり、右の表に示したような内容を満たす必要があります。
帰国枠入試を受けるためには、海外在住年数のほか、特に帰国時期に注意をする必要があります。左の表で、帰国時期が小4(3学期)1月以降とした学校は、小4の3学期1月以降に帰国した帰国子女でなければ、帰国枠入試を受けることはできないということを示しています。つまり、これらの学校では、海外で生まれ小学3年生まで海外で生活したような帰国子女でも、帰国枠での受験資格はないということになります。
〈多くの問題を抱えた出願資格〉
子供を現地校やインター校に通わせた場合、帰国後も英語力を維持し、中学校は帰国生の多い私立または国立中学を受験させたいと考える方は少なくないでしょう。ところが、帰国時期の関係で帰国枠が使えない場合は、一般入試でこれらの学校を目指すほかありません。ただ、海外生活が長く国語力が学年相応レベルに比べて劣ってしまった場合は、3年かけても一般入試が求めるレベルに到達するのは容易なことではありません。また、受験勉強に忙しく、入試が終わるまでは英語力の維持伸長にかける時間は取れないでしょう。
帰国枠が利用できれば、入試に英語があるところが多いため、帰国後も英語の勉強を続ける必要から英語力を維持でき、また一般入試に比べ合格も手にしやすいと言えます。帰国時期により全く違った準備と結果になりがちですので、帰国時期には可能な限り注意を払いたいものです。
帰国時期を選ぶのは難しいかもしれませんが、帰国場所を選べば、帰国時期を不問とする帰国子女受け入れ校もあります。一般入試には対応できないのではないかと考えられる際は、帰国場所を考慮してあげたいところです。
2009年9.10月号